求人検索サイトには、企業から依頼を受けて求人情報を載せるものと、公開済みの求人情報を依頼なく集めて載せるものの2種類があります。いずれも職業安定法上は「募集情報等提供事業」にあたり、情報を的確に表示し、正確かつ最新の内容に保つ義務が事業者に課されています。 求職者の氏名やメールアドレスなどを集めて事業を行う事業者は、厚生労働大臣への届出が必要です。掲載を検討する、または既に載っている求人検索サイトと付き合ううえで、まず知っておきたい仕組みと確認先を整理します。
この記事では、厚生労働省の資料をもとに、次のことを整理します。
- 求人検索サイトの仕組み(依頼を受けて載せる事業と、依頼なく集めて載せる事業の違い)
- 事業者に課される義務と、求人企業側が守ること
- 掲載を依頼する前に確認できること
- ありがちな落とし穴
求人検索サイトの仕組み
厚生労働省は、募集情報等提供事業を、情報を集める相手からの依頼の有無によって4つの類型に整理しています(厚生労働省「令和6年 特定募集情報等提供事業概況報告書の集計結果」)。
| 類型 | 内容 | 求人検索サイトとの関係 |
|---|---|---|
| 第1号事業 | 求人企業から依頼を受けて、求人情報を求職者に提供 | 企業が直接申し込んで掲載する、有料・無料の求人サイトに多い形 |
| 第2号事業 | 依頼を受けずに、求人情報を収集して求職者に提供 | 各社の採用ページや他の求人媒体を収集し、横断的に検索できるようにする「求人検索サイト」に多い形 |
| 第3号事業 | 求職者から依頼を受けて、求職者情報を求人企業に提供 | (求人企業側の掲載とは別の仕組み) |
| 第4号事業 | 依頼を受けずに、求職者情報を収集して求人企業に提供 | (求人企業側の掲載とは別の仕組み) |
求人検索サイトと呼ばれるサービスの多くは、第1号事業と第2号事業を組み合わせて運営されています。企業や既存の求人サイトと提携して情報の提供を受ける部分(第1号事業的な形)と、インターネット上に公開されている求人情報を自動的に収集して載せる部分(第2号事業)です。自社が申し込んでいなくても、自社の採用ページやハローワークに出した求人の内容が、第2号事業にあたる求人検索サイトに転載されることがあります。
事業者に課される義務
職業安定法第5条の4は、求人企業だけでなく、募集情報等提供事業者を含む「募集に関する情報を提供する者」に対し、次を求めています(厚生労働省「職業安定法に基づく周知|労働者の募集広告の表示について」)。
- 虚偽の表示、または誤解を生じさせる表示をしないこと
- 提供する募集情報を、正確かつ最新の内容に保つこと
情報を正確かつ最新に保つ義務は、求人検索サイトの運営者だけでなく、求人を出す企業自身にも課されています。 募集を終えた、または内容を変えたときは、自社の求人情報を速やかに更新し、掲載を依頼している求人サイトや求人検索サイトにも、その旨を伝えることが求められます。求人票に書く6つの必須事項(氏名・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金)は、SNS採用の始め方で詳しく扱っています。
特定募集情報等提供事業者の届出
求職者になろうとする人に関する情報(氏名、メールアドレス、サイトの閲覧履歴など)を収集して事業を行う事業者は、「特定募集情報等提供事業者」として、厚生労働大臣への届出が必要です。厚生労働省の集計によると、令和6年6月1日時点で1,154事業者が届出にもとづく概況報告書を提出しており、前年より27.9%増えています(厚生労働省「令和6年 特定募集情報等提供事業概況報告書の集計結果」)。届出をした事業者は、毎年8月31日までに、6月1日時点の事業の実施状況を報告する義務があります。
掲載を依頼する前に確認できること
求人検索サイトへの掲載を検討するとき、次の2つを事前に確かめられます。
- 届出の有無: 厚生労働省の「人材サービス総合サイト」の特定募集情報等提供事業者検索で、事業者名称や届出受理番号、提供するサービスの名称・URLから検索できます。行政処分(改善命令・停止命令など)の有無も確認できます
- 優良認定の有無: 「優良募集情報等提供事業者認定制度」は、法令遵守・的確な表示・個人情報の取り扱いなど一定の基準を満たした事業者を、厚生労働省の委託を受けた公益社団法人全国求人情報協会が認定する制度です。認定事業者は人材サービス総合サイトや制度の公式サイトに掲載されます
どちらも、求人検索サイトの運営者が法令上の義務を果たしているかどうかの目安になります。掲載の契約を結ぶ前、または既に載っている求人検索サイトを見直すときに確かめておくと、後から個人情報の扱いや表示の適正さで問題になるリスクを減らせます。
ありがちな落とし穴
| 落とし穴 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 複数の求人検索サイトに同じ内容が転載されている | 募集を終えても、古い募集内容がいつまでも残る | 定期的に自社名や求人内容で検索し、残っている転載を見つけたら該当サイトに訂正・削除を依頼する |
| 無断で載っている転載を放置する | 賃金や労働条件が古いまま伝わり、応募者との認識にずれが生じる | 転載元(自社サイトやハローワークなど)を常に最新に保つ。転載先にも変更を反映するよう依頼できないか確認する |
| 有料掲載の契約前に事業者の届出や認定を確認しない | 個人情報の取り扱いや表示の適正さに問題がある事業者と契約してしまう | 契約前に人材サービス総合サイトで届出の有無を確認する |
まとめ
- 求人検索サイトは、依頼を受けて情報を載せる事業(第1号事業)と、依頼なく情報を集めて載せる事業(第2号事業)に分かれ、いずれも職業安定法上の募集情報等提供事業にあたる
- 自社が申し込んでいなくても、公開している求人情報が第2号事業にあたるサイトに転載されることがある
- 事業者には、虚偽・誤解を招く表示の禁止と、情報を正確かつ最新に保つ義務がある。求人企業自身にも同じ義務がある
- 求職者情報を集める事業者は厚生労働大臣への届出が必要。人材サービス総合サイトで届出や優良認定の有無を確認できる