ハローワークへの求人は無料で出せます。申し込み先は事業所の所在地を管轄するハローワークで、流れは「事業所の登録 → 求人の入力(仮登録)→ ハローワークの確認 → 公開」です。応募の受け方を「ハローワークの紹介に限る」か「オンライン自主応募も受ける」かで、助成金の対象になるかどうかが変わる点が、中小企業にとって最初の分かれ道になります。
この記事では、ハローワークインターネットサービスの事業主向けページと職業安定法をもとに、次のことを整理します。
- 費用と、申し込める単位
- 申込みから採用までの7つのステップ
- 公開方法の4つの区分と、選び方
- 応募の受け方(紹介・オンライン紹介・オンライン自主応募)と助成金
- 有効期限と、募集を終えるときの連絡
- 求人以外に使えるハローワークのサービス
求人票の各欄の書き方は、求人票の書き方で詳しく扱っています。
費用と、申し込める単位
職業安定法第8条は、公共職業安定所を「職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関」と定めています。求人の申込み、紹介、公開のいずれにも手数料はかかりません。
申込みの基本は次のとおりです(ハローワークインターネットサービス「求人申込み手続きの流れ」)。
| 項目 | 取り扱い |
|---|---|
| 申込み先 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク |
| 申し込める単位 | 原則として雇用保険の適用事業所ごと |
| はじめての申込み | 事業所登録の手続きが必要 |
| 求人の分け方 | 職種別、就業場所別、雇用形態別、フルタイム・パートタイム別に1件ずつ |
| フルタイムとパートの区別 | 正社員かどうかや月給か時給かではなく、労働時間で区別する |
| 受理されないもの | 法令に違反する内容、雇用関係ではないもの、必要な条件が明示されていないもの |
「営業職と事務職」「本社と支店」「正社員とパート」を同時に募集するなら、それぞれ別の求人として申し込むことになります。
受理されない求人
職業安定法第5条の6は、ハローワークなどは求人の申込みをすべて受理しなければならないとしたうえで、次のような求人は受理しないことができると定めています。
- 内容が法令に違反する求人
- 賃金・労働時間などが、通常の労働条件と比べて著しく不適当な求人
- 一定の労働関係法令の違反で、法律にもとづく処分や公表などを受けた者からの求人(省令で定める場合に限る)
- 労働条件の明示が行われない求人
- 暴力団員などからの求人
- 確認のための報告の求めに、正当な理由なく応じない者からの求人
ハローワークの案内も「入力(仮登録)した求人条件は、そのまま採用後の労働条件になることが期待されています」としています。明示が必要な項目は募集時の労働条件の明示を確かめてから入力します。
申込みから採用までの7つのステップ
| ステップ | 内容 | 事業主がすること |
|---|---|---|
| 1 事業所情報の登録 | 会社の特長、事業内容、社会保険、福利厚生など、以後の求人票に共通で載る情報 | ハローワークの端末、紙の「事業所登録シート」、または求人者マイページから入力 |
| 2 求人情報の入力(仮登録) | 職種・就業場所・雇用形態などごとの求人内容 | 同上。大卒等の求人は「求人区分1詳細」で卒業区分を選ぶ |
| 3 内容の確認 | ハローワークが内容を確認して受理 | はじめてマイページから申し込んだ場合など、職員の訪問や電話での確認に応じる |
| 4 公開 | 求職者への情報提供と、希望に応じたインターネット公開 | 公開区分を選んでおく |
| 5 応募 | 窓口での紹介、オンラインハローワーク紹介、オンライン自主応募 | 面接日時を応募者と取り決める |
| 6 採用選考 | 能力・適性にもとづく公正な選考 | 質問内容や応募書類に注意する |
| 7 採用 | 採否の決定 | 結果にかかわらず、速やかに応募者とハローワークへ連絡。採用者に労働条件通知書を交付 |
窓口とパソコン、どちらで申し込むか
申込みの方法は大きく2つです。
- ハローワークに出向く: 館内の端末で仮登録してから窓口で本登録する。端末が難しければ紙の求人申込書に記入して窓口で登録する
- 会社のパソコンなどから: 求人者マイページを開設し、事業所情報と求人情報を仮登録する。ハローワークの確認を経て本登録になる
求人者マイページを開設すると、求人の更新・変更・取消、過去の求人の検索、応募者の管理、応募者とのメッセージ、選考結果のハローワークへの登録、求職情報の検索と直接リクエストが、会社のパソコンからできるようになります(ハローワークインターネットサービス「求人者マイページでできること」)。ただし、有効中の求人がないと一部の機能は使えません。
公開方法の4つの区分
求人を申し込むときに、公開の範囲を4つから選びます(ハローワークインターネットサービス「求人情報や事業所名等の公開について」)。
| 区分 | 公開される範囲 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1 事業所名等を含めて公開 | ハローワークの求職者以外も含め、インターネットで広く | 広い範囲から集められ、応募のスピードが期待できる。一方で応募や問い合わせが集中することがある |
| 2 ハローワークの求職者に限定して、事業所名等を含めて公開 | ハローワークの利用登録者と、インターネットで求職登録したオンライン登録者 | 1より応募の集中がある程度和らぐ。問い合わせは求職登録者に限られる |
| 3 事業所名等を含めずに公開 | 求人内容は公開されるが、事業所名・所在地・ホームページなどは出ない | 応募はハローワークで相談・紹介を経た人だけ。オンライン自主応募は受けられない |
| 4 公開しない | インターネットにもハローワークの端末にも出ない | オンライン自主応募は受けられない |
ハローワークインターネットサービスは、出所を明記したうえでの他サイトへの転載を認めています。そのため、区分1を選ぶと求人がほかのサイトにも載り、問い合わせが増える場合があると案内されています。
どの区分を選ぶか
- とにかく応募の数を増やしたい: 区分1
- 応募は欲しいが、営業の電話や冷やかしの問い合わせは避けたい: 区分2
- 社名を伏せて募集したい(在職者に知られたくない後任の募集など): 区分3
- ハローワークの窓口での紹介だけでよい: 区分4
応募の受け方と助成金
応募には3つの経路があり、ハローワークの「紹介」かどうかで扱いが変わります。
| 経路 | 紹介かどうか | 流れ |
|---|---|---|
| 窓口での紹介 | 紹介 | ハローワークから紹介希望者について連絡が来る。応募者は紹介状を持参する |
| オンラインハローワーク紹介 | 紹介 | ハローワークが求職者マイページに送った求人に求職者が応募すると、求人者マイページに紹介状が発行される |
| オンライン自主応募 | 紹介ではない | 求職者がマイページから直接応募する。紹介状は発行されない |
オンライン自主応募で応募した人を採用しても、ハローワークなどの職業紹介を要件とする助成金の対象にはなりません。ハローワークは、例として特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金を挙げています。求人票に載った社名や連絡先を見て直接応募してきた人も同じ扱いです。
助成金を使う予定がある場合は、求人の入力時に「オンライン自主応募を受け付けない(ハローワーク紹介に限る)」を選びます。なお、区分3・4を選んだ場合や、求人者マイページを開設していない場合は、そもそもオンライン自主応募は受けられません。
待つだけでなく、こちらから声をかける
求人者マイページでは、ハローワークに求職登録した人のうち、経歴や資格などの公開を希望した人を検索できます(氏名・住所など個人が特定される情報は出ません)。条件に合う人がいれば、ハローワークと相談してハローワークから連絡してもらうか、オンライン自主応募を可とした有効中の求人について、求職者マイページに直接メッセージを送る「直接リクエスト」ができます。
有効期限と、募集を終えるときの連絡
求人の有効期限は、原則として受理した月の翌々月末です。
| 受理した日 | 有効期限 |
|---|---|
| 4月1日 | 6月30日 |
| 5月15日 | 7月31日 |
| 6月30日 | 8月31日 |
| 大卒等の求人 | 申込み日にかかわらず、その年度末(3月末日) |
期限の前に募集を終えるときは、速やかにハローワークへ連絡します。連絡が遅れると、募集終了後でも応募の連絡が来ることがあるとされています。ハローワーク以外の経路で採用が決まった場合も、求人の取消が必要です。
期限を過ぎても応募がない、採用が決まらないという場合、ハローワークは求人票の記載内容の見直しを勧めており、窓口で相談もできます。
採否の連絡はハローワークにも
職業安定法施行規則第4条の2第8項は、ハローワークから紹介を受けた求人者に対し、紹介された人を採用したかどうか、採用しなかった場合はその理由を、速やかにハローワークへ通知するよう定めています。求人者マイページを開設していれば、選考結果をマイページから登録できます。応募者本人への採否の連絡も忘れずに行います。
新卒の求人を出すときの注意
大卒等の求人には、一般の求人と違うルールがあります(「求人申込み手続きの流れ」)。
- 4月1日から、その年度に卒業予定の人に向けて求人が公開される
- 公開後でも、5月31日以前に応募受付や採用選考を行わない。オンライン自主応募や直接リクエストによる選考も6月1日以降に行う
- 有効期限は年度末(3月末日)
- 青少年の雇用の促進等に関する法律にもとづく「事業主等指針」は、新卒採用に当たって少なくとも卒業後3年間は応募できるようにすることを求めている。既卒者の応募を受けるなら「既卒応募」欄で可を選ぶ
求人の掲載以外に使えるサービス
ハローワークの「初めてご利用になる求人者の方へ」は、求人の公開のほかに次のサービスを挙げています。ハローワークインターネットサービスの1日あたりのアクセス数は約240万件(令和5年度末)とされています。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| PR情報の公開 | 事業所の外観・職場風景・取扱商品の画像や事業所からのメッセージを公開 |
| 求人情報誌 | 各ハローワークがフルタイム・パート別、職種別などに作成・配布 |
| 求人条件の相談 | 応募が増えるような求人条件や、わかりやすい求人票づくりの相談 |
| 面接会・説明会 | ハローワークの会議室での小規模なものや、自治体との共催など |
| 地域の労働市場のデータ | 職種別の求人数・求職者数を並べた「バランスシート」など |
| 助成金の案内 | 若年者・中高年齢者・障害者などの雇入れや人材育成に関する助成金 |
募集する職種について、地域にどれくらいの求職者がいるかをバランスシートで確かめてから条件を決めると、求人が埋もれるのを防ぎやすくなります。
申込み前のチェックリスト
- 管轄のハローワークを確かめた
- 雇用保険の適用事業所であることを確かめた
- 職種・就業場所・雇用形態・フルタイム/パートごとに求人を分けた
- 労働条件の明示項目(変更の範囲、試用期間、固定残業代の内訳など)をすべて入力した
- 公開区分(1〜4)を決めた
- 助成金を使う予定があるか確かめ、オンライン自主応募を受けるかどうかを決めた
- 求人者マイページを開設するかどうかを決めた
- 画像などのPR情報を用意した
- 採否を応募者とハローワークに連絡する担当を決めた
- 他の経路で採用が決まったときに、求人を取り消す手順を決めた
まとめ
- ハローワークへの求人は無料。管轄のハローワークに、職種・就業場所・雇用形態・フルタイム/パートごとに申し込む
- 流れは、事業所登録 → 求人の仮登録 → 内容確認 → 公開 → 応募 → 選考 → 採用
- 公開方法は4区分。社名を出すかどうか、オンライン自主応募を受けるかどうかで応募の集まり方が変わる
- オンライン自主応募や直接応募で採用した人は、職業紹介を要件とする助成金の対象外
- 有効期限は原則翌々月末。募集を終えたら、ほかの経路で決まった場合も含めて速やかに連絡する