面接の質問は、「その仕事に必要な適性・能力」から評価項目を決め、項目ごとに質問と評価基準を前もって用意し、面接官全員が同じものを使う、という順で作ります。厚生労働省の公正採用選考特設サイトは、面接の質問事項はあらかじめ決めておくこと、その内容は職務遂行のために必要な適性・能力を評価するために必要な事項とすること、評価はあらかじめ決めた評価基準でできるだけ客観的かつ公正に行うことを求めています。

質問を面接官まかせにすると、面接官ごとに聞くことも見るところも変わり、応募者を比べられなくなります。家族のことなど、聞いてはいけないことをうっかり聞いてしまう原因にもなります。

この記事では、次の順で面接の質問の作り方を整理します。

  1. 評価項目を決める
  2. 評価項目ごとに質問を作る
  3. 評価基準を決める
  4. 面接の流れと時間配分を決める
  5. 面接官をそろえる
  6. 聞いてはいけないことを確かめる

聞いてはいけない14の事項と応募書類の扱いは、公正な採用選考とはで詳しく扱っています。

ステップ1 評価項目を決める

評価項目は、求人票に書いた「仕事の内容」と「必須・歓迎の条件」から作ります。求人票の書き方は求人票の書き方、人物像の決め方は採用計画の立て方で扱っています。

手順すること
1 仕事を書き出すその職種で日常的に行う業務と、ときどき起きる難しい場面を書く
2 必要な力を書く業務ごとに必要な知識・技能・経験・行動の特徴を書く
3 面接で見るものを選ぶ資格や学歴のように書類で確かめられるものは面接の項目から外し、面接でしか確かめられないものに絞る
4 項目数を絞る1回の面接で深く聞けるのは数項目。多すぎると1項目あたりの質問が浅くなる

評価項目の例(職種によって変える):

  • 業務に必要な知識・経験の程度
  • 顧客や利用者への対応
  • 同僚との協力
  • 手順やルールを守って仕事を進めること
  • 予定外のことが起きたときの対応
  • 勤務条件(時間・場所・業務の範囲)への対応

「明るさ」「素直さ」のような印象の言葉は、そのままでは評価がぶれます。使うなら「顧客からの苦情に、事実を確かめてから対応できる」のように、仕事の場面の行動に言い換えます。

ステップ2 評価項目ごとに質問を作る

質問は、評価項目1つにつき、主な質問1つと、掘り下げの質問を2〜3つ用意します。質問には大きく2つの型があります。

聞き方向いている場面
過去の経験を聞く「これまでに〜したとき、どのように対応しましたか」経験者の採用。実際にしたことを聞ける
仕事の場面を示して聞く「当社では〜ということがあります。その場合どうしますか」未経験者の採用。経験がなくても考え方を聞ける

掘り下げの質問

主な質問への答えが抽象的なときは、次のような掘り下げで具体的な行動を聞きます。

  • そのとき、あなたが担当していたのはどの部分ですか
  • 最初に何をしましたか。次に何をしましたか
  • ほかに選べた方法はありましたか。なぜその方法を選びましたか
  • 結果はどうなりましたか。次に同じことが起きたら何を変えますか

質問の例(評価項目ごと)

評価項目主な質問の例掘り下げの例
業務の知識・経験前の職場で担当していた業務を、1日の流れで教えてください使っていた機材やソフトは何ですか。一人で任されていた範囲はどこまでですか
顧客・利用者への対応お客様から強い苦情を受けたときのことを教えてください最初に何を確かめましたか。上司にはいつ伝えましたか
同僚との協力同僚と仕事の進め方で意見が分かれたときのことを教えてくださいどうやって決めましたか。その後の関係はどうでしたか
手順を守る決められた手順が現場に合わないと感じたとき、どうしましたか誰に相談しましたか。手順は変わりましたか
予定外の対応当社では急な欠員でシフトを組み直すことがあります。その日の担当が1人足りないとき、どう動きますか優先する仕事をどう決めますか
勤務条件への対応繁忙期には残業をお願いする場合がありますが、対応は可能ですか配慮が必要なことがあれば教えてください

勤務条件については、家族の状況や結婚の予定を聞いて推し量るのではなく、条件そのものを示して対応できるかを尋ねます。これは厚生労働省が示している質問例の考え方です。

ステップ3 評価基準を決める

評価項目ごとに、段階と、それぞれの段階に当たる回答の目安を文章で決めておきます。

段階目安(「顧客・利用者への対応」の例)
3 期待を上回る事実の確認、相手への説明、社内への共有を自分から行い、再発防止まで考えている
2 期待どおり事実を確かめてから対応し、自分で判断できないことは上司に相談している
1 期待を下回るその場で謝るだけで事実を確かめていない、または具体的な行動が出てこない

評価基準を決めるときの注意:

  • 目安は行動で書く: 「感じがよい」ではなく「何をしたか」で書く
  • 合否の線を先に決める: 必須の項目で1がついたら不採用、など
  • 項目ごとに記録してから総合評価をつける: 最後の印象で全体を決めない
  • 評価の理由を書く: 応募者が話した事実を短く書き残す

厚生労働省は、採否の決定は、本人が職務を遂行するために必要な適性・能力を持っているかどうかという観点で、あらかじめ定めた基準にしたがって総合的に評価するよう求めています。

評価シートのひな形

評価項目主な質問応募者の回答(事実)評価(1〜3)理由
業務の知識・経験
顧客・利用者への対応
同僚との協力
勤務条件への対応
総合評価と所見

評価シートには、家族構成や出身地など、聞いてはいけない事項を書く欄を作りません。職業安定法第5条の5は、募集を行う者に、業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者の個人情報を収集・保管・使用するよう定めています。

ステップ4 面接の流れと時間配分を決める

段階内容時間の目安の考え方
はじめ面接官の紹介、面接の流れの説明短く
会社と仕事の説明仕事の内容と労働条件を説明する求人票と同じ内容を、口頭で補う
質問評価項目ごとの質問と掘り下げ最も長く取る
応募者からの質問応募者が聞きたいことに答える必ず時間を取る
おわり今後の日程と、結果の連絡方法を伝えるいつまでに、どの方法で連絡するかを伝える

会社と仕事の説明では、求人票に書いた労働条件と違うことを口頭で言わないようにします。労働条件を変えて示す場合は、職業安定法第5条の3第3項による変更の明示が必要です。明示のルールは募集時の労働条件の明示で整理しています。

ステップ5 面接官をそろえる

厚生労働省は、複数の面接担当者で面接する場合は、全員が公正採用選考の考え方にもとづいた対応ができるよう、改めて確認・徹底し、意思統一を図るよう求めています。また、担当者のうち1人でも就職差別につながる不適切な対応をすれば、企業全体の社会的な信頼を失いかねないとして、責任の所在の明確化、マニュアルなどによる全担当者への周知、選考の方法や基準の点検・修正の仕組みといった社内体制を整えるよう求めています。

面接官をそろえるためにすること:

  1. 面接の前に、評価項目・質問・評価基準を全員で読み合わせる
  2. 聞いてはいけない事項を確認する
  3. 面接の後、それぞれが評価をつけてから話し合う(先に話し合うと、声の大きい人の評価に寄る)
  4. 評価が大きく分かれた項目は、回答の事実に戻って理由を確かめる

ステップ6 聞いてはいけないことを確かめる

公正採用選考特設サイトは、面接の中で家族のことを尋ねる事案がとても多いとして、うっかり尋ねることがないよう注意を促しています。次のような質問は、評価項目から作った質問の中にまぎれ込みやすいので、事前に質問表を見直します。

まぎれ込みやすい質問問題になる事項代わりに聞くこと
ご家族はこの仕事に賛成していますか家族に関すること入社後に続けて働くうえで、配慮が必要なことがあるか
実家はどちらですか本籍・出生地勤務地・通勤についての条件への対応
休みの日は何をしていますか(家庭環境を探る意図で)生活環境・家庭環境聞かない。仕事の経験を聞く
尊敬する人は誰ですか尊敬する人物仕事で判断に迷ったときの経験
普段どんな本や新聞を読みますか購読新聞・愛読書業務に必要な知識をどう学んできたか

2026年10月からの面接のルール

厚生労働省のWebマガジン「求職活動等をする方を守るために」によると、令和7年の男女雇用機会均等法の改正により、令和8年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止する措置が事業主の義務になります。「求職者等」には、採用面接の参加者のほか、就職説明会の参加者、インターンシップや実習を受ける人、OB・OG訪問をする人も含まれます。

面接の運営に関わる主な措置は次のとおりです。

  • 求職者等へのセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨と、行った者には厳正に対処する旨の方針を定め、労働者に周知する
  • 面談の時間や場所の指定、実施体制、やり取りに使うSNSの種類など、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確にし、労働者と求職者等の両方に周知する
  • 相談窓口を定めて求職者等に周知し、担当者が適切に対応できるようにする
  • 相談があれば事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者への配慮と行為者への措置、再発防止を行う

面接は社内の決まった場所・時間で行い、面接官が個人のSNSで応募者と連絡を取らない、といったルールを、質問表と一緒に面接官へ配っておきます。

チェックリスト

  • 評価項目を、求人票の仕事内容と必須・歓迎の条件から作った
  • 書類で確かめられる項目は面接の評価項目から外した
  • 評価項目ごとに、主な質問と掘り下げの質問を用意した
  • 評価基準を、段階ごとに行動の言葉で書いた
  • 合否の線(必須の項目の最低段階)を先に決めた
  • 評価シートに、聞いてはいけない事項を書く欄がない
  • 質問表を見直し、家族・出身地・住宅・思想信条に触れる質問がない
  • 勤務条件は、条件を示して対応できるかを尋ねる形にした
  • 面接官全員で、質問と評価基準を読み合わせた
  • 面接の時間・場所・連絡手段のルールを決め、応募者にも伝えている
  • 求職者等からのハラスメントの相談窓口を決め、応募者に周知している

まとめ

  • 面接の質問は、仕事に必要な適性・能力から評価項目を決めて作る
  • 評価項目ごとに、主な質問・掘り下げの質問・評価基準を前もって用意する
  • 評価基準は行動の言葉で書き、項目ごとに記録してから総合評価をつける
  • 面接官全員で質問と基準をそろえ、聞いてはいけない事項を事前に確かめる
  • 令和8年10月1日から、面接などでの求職者等へのセクハラ防止措置が義務になる

参考資料