適性検査は、面接や書類だけでは見えにくい能力・性格の傾向を補う材料として使うのが基本です。 厚生労働省は公正採用選考特設サイトで、「適性検査等の結果を絶対視したり、うのみにしないようにしましょう」「適性検査等によって適性・能力に関係のない事項を把握したり、その結果のみで採否を決定しないようにしましょう」としています。検査を導入するときは、何のために使うのかと、結果をどう扱うのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

この記事では、適性検査の種類と選び方、導入の手順、聞いてはいけない事項、結果の扱い方を、厚生労働省の資料にもとづいて整理します。


1. 適性検査の種類

適性検査は、大きく2つに分かれます。

種類見るもの使われ方の例
能力検査言語・計算・論理などの基礎的な処理能力業務で必要な基礎能力の目安を見る
性格検査行動の傾向、対人関係の傾向、ストレス耐性など配属や、面接で確かめる点を決める材料にする

どちらの検査も、受検者の能力・性格の全体を測り切るものではなく、限られた設問から傾向を推測するものです。結果は「傾向の目安」として扱い、断定的な評価の根拠にはしません。


2. 適性検査を選ぶときの確認点

検査を選ぶ段階で、次の点を確認します。

確認点見るところ
設問に14事項が含まれていないか本籍・出生地、家族、住宅状況、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書に関する設問がないか
測る項目が自社の仕事に関係しているか求人票の仕事内容・必須条件と照らして、測る項目が職務遂行に関係するか
結果のフィードバック方法受検者本人への結果の開示・説明の方針を、検査会社ごとに確認する
費用と運用の手間1人あたりの費用、受検から結果が出るまでの日数

就職差別につながるおそれがある14事項は公正な採用選考とはで一覧にしています。検査会社の設問例を取り寄せ、14事項に触れる設問がないかを確認してから導入します。


3. 導入の手順

  1. 使う目的を決める:面接で確かめる点を絞り込むための参考にするのか、配属の参考にするのか、目的を先に決める
  2. 測る項目を選ぶ:求人票の仕事内容・必須条件に関係する項目に絞る
  3. 実施のタイミングを決める:書類選考後、面接前後など、選考のどの段階で行うかを決める
  4. 結果の扱い方を決めておく:誰が結果を見るか、合否の判断にどう反映させるか(反映させないか)を、受検前に決めておく
  5. 応募者への案内:受検の案内に、検査の目的や所要時間を示す

目的と結果の扱い方を先に決めておかないと、検査を導入した後に「結果が低い人を機械的に落とす」といった使い方になりやすく、厚生労働省が求める「結果だけで採否を決めない」という考え方から外れてしまいます。


4. 結果の扱い方

絶対視しない

検査結果が面接の印象と大きく違う場合、どちらかが誤っていると決めつけず、面接でその点を確かめ直します。例えば、性格検査で対人関係に慎重な傾向が出た応募者が、面接では落ち着いて受け答えできていた場合、検査の設問に対する受け止め方の個人差も考えられます。結果だけで評価を固定しません。

結果のみで採否を決めない

厚生労働省の考え方にもとづき、検査の結果は、面接・書類選考など他の選考方法と組み合わせて、総合的に判断する一つの材料として使います。検査の点数にあらかじめ合否の線を設け、その線を下回ったら他の結果を見ずに不合格にする、という運用は避けます。

本人の適性・能力に関係のない事項を把握しない

検査の結果から、本人の適性・能力に関係のない事項(家族状況や思想信条の推測につながる内容など)を把握し、それを選考に用いることも避けます。検査会社が提供する分析レポートに、業務に無関係な私生活面の推測が含まれていないかも確認しておきます。


5. 結果を面接に生かす使い方

検査の結果は、合否を直接決める材料にするのではなく、面接で何を確かめるかを決める材料として使うと、面接の質問づくりと相性がよくなります。

検査結果の傾向面接で確かめること
ストレス耐性が低めに出たこれまでの仕事で負荷の高い場面にどう対応したか、具体的な経験を聞く
チームでの協調性が低めに出た同僚と意見が分かれたときにどう進めたか、具体的な経験を聞く
面接の印象と結果が大きく違うどちらかを正解と決めず、該当する項目について面接で掘り下げて確かめる

評価項目ごとに質問と評価基準を前もって決めておく方法は面接の質問の作り方で整理しています。検査の結果を面接の質問づくりに組み込む場合も、評価基準はあらかじめ決めておき、面接官の印象だけで判断しないようにします。

費用と運用の手間も確認する

適性検査は、1人あたりの受検費用に加えて、結果が出るまでの日数、結果の見方について社内で読み合わせをする手間もかかります。選考の人数が多い時期に導入する場合は、結果が選考のスケジュールに間に合うかもあわせて確認しておきます。


チェックリスト

  • 検査の設問に、就職差別につながるおそれがある14事項が含まれていないか確認した
  • 検査で測る項目を、求人票の仕事内容・必須条件に関係するものに絞った
  • 検査を使う目的(面接の参考にする、配属の参考にするなど)を決めている
  • 結果の扱い方(誰が見るか、合否にどう反映させるか)を受検前に決めている
  • 検査結果だけで合否を決める運用(点数での機械的な足切りなど)になっていない
  • 面接の印象と検査結果が違う場合は、面接で確かめ直す運用にしている

まとめ

  • 適性検査は、面接や書類だけでは見えにくい能力・性格の傾向を補う材料として使う
  • 検査を選ぶときは、設問に14事項が含まれていないか、測る項目が自社の仕事に関係しているかを確認する
  • 導入前に、使う目的と結果の扱い方を決めておく
  • 厚生労働省は、結果を絶対視せず、結果だけで採否を決めないことを求めている
  • 検査結果は、面接など他の選考方法と組み合わせて総合的に判断する

参考資料